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【SS】山吹沙綾の野球講座

    • 1 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      野球の戦術について沙綾が解説していくSSです

      当BBS内の野球の基本的なルール【ゆっくり解説】、ガルパキャラで学ぶ航空事故あたりに影響を受けてやりたくなりました。

      ちなみに作者は野球観戦は趣味ですが、野球に関して何かの専門家というわけではないので、その点はご容赦ください。

    • 2 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      昼休み、中庭

      「そうだ! ねえ、さーや」

      「うん、何?」

      「この前たまたまテレビで野球を見てね。面白いなーって思ったんだ! でもまだルールぐらいしかわからないから。さーやに見所を教えてもらおうと思って」

      「香澄、目覚めたんだね。じゃあ放課後蔵に集合」

      「おい、勝手に決めるなよ」

    • 3 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      放課後・蔵

      「香澄は基本的なルールはわかるって言ってたけど、ほかの3人は?」

      「うーん全く」

      「私もかな」

      「私は向こうにいた時はお父さんに連れられて甲子園に行ったりしたこともあったからなんとなくは」

      「なるほど。じゃあ流れで解説していって。わからないところがあれば適宜補足しておこうか」

      「理解を深めるために選手を私たちの身の回りの人に置き換えて話すね」

    • 4 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      「実況の月島まりなです。1回の表、タマデーズの攻撃は俊足の1番打者パレオ選手から。迎え撃つココロンズのマウンドに立つのは球界のエース湊友希那選手です」

      1回表
      1番打者パレオ VS 投友希那―捕リサ

      「湊選手、1球目。内角高めのストレートがキャッチャーのミットに突き刺さります」

      ――――

      「1番打者はできるだけ情報を引き出すために最初の打席は少しでも球数を投げさせる人が多いね。意表をついて1球目から攻撃するような場合もないわけではないけど」

      「1番はやっぱり足の速い人が基本なわけか?」

      「基本的にはね。足の速い人なら後続の人がヒットを打てなくても進塁してチャンスを広げることができるからね」

      「一方足の遅い人だと先頭で塁に出ても、自分の次に出たランナーを邪魔しちゃったりするんだ」

      「でも何よりも重要なのは打率。いやそれよりも出塁率かな」

      「出塁率?」

      「うん、打率は簡単に言えばヒットを打てる割合だね」

      「出塁率はヒットでも四球でも、死球でもいいから塁に出られる割合を示してるんだ」

      「エラーでの出塁も含むの」

      「ううん、エラーは凡退扱いだから。でもデータ野球の分野ではエラーでの出塁も足が速い選手ほど多くなるってことで、それを考慮した打撃指標もあるみたいだね」

      「なるほど。ランナーがいない場面が多い1番打者はとにかく塁に出られる確率が大事なわけだ」

      「流石、有咲。飲み込みが早いね」

    • 5 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      コツン!

      「パレオ選手、セーフティバント! 三塁線ギリギリに打球が転がります! サードのあこ選手捕らない!」

      「あ……」

      「一塁セーフです」

      ――――

      「今あこはなんでボールを捕らなかったの?」

      「今のは三塁線ギリギリに打球が転がっちゃったからね。あ、三塁線ってのは。野球はフェアゾーンってのがあってその中に打球を打たなくちゃいけないんだよね。

      「その外はファールゾーンで内野でそこに出たら打ち直し、外野でもノーバウンドだったら打ち直しなんだけど。そのファールゾーンとフェアゾーンの境目。その三塁側にあるのが三塁線ね」

      「とにかく攻撃側にとっていいところに打球が転がっちゃったからね。投げても間に合わないと思ったからあこは打球を捕らずにファールゾーンまで転がるのに賭けたんだよ。守備の人が捕ってなきゃファールになるようなボールでもその前に触ったらフェアだからね」

    • 6 名前:匿名スタッフさん ID:xN2IyODB

      一番バッターってそこまで考えないといけなかったのか
      これは期待

    • 7 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      「家庭教師として保健体育を教えて貰いたい人です」

      「保健体育教える家庭教師なんている?」

      「リサちゃん、これは――」耳打ち

      「えっ!? あー、なるほどね」

      (かわいい)

      (かわいい)

      「このテーマ大丈夫なんですかね」

      「まあまずかったらスタッフがカットするでしょう」

      「友希那さん、すみません」

      「今のは仕方ないわ」

      「タマデーズ、2番打者は青葉モカ選手。不敵な笑いを浮かべつつバッターボックスに入ります」

      ――――

      「2番はどんな人が打つの?」

      「1番打者が打ち取られたら自分が出塁しないといけないからね。単純に1番の次に足が速い人や出塁率のいい人を持ってくる場合もあるよ」

      「1番打者が塁に出てたらチャンスを広げなくちゃいけないからね。小技のできる人が採用される場合も多いね」

      「あと最近はMLBからのトレンドで日本のプロ野球でも2番に強打者を置くってのも流行ってるね」

      ――――

      「友希那選手、インコース主体に攻めています」

    • 8 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      >>7
      あ、すみません別のSSを誤爆してしまいました。掲載し直します

      「友希那さん、すみません」

      「今のは仕方ないわ」

      「タマデーズ、2番打者は青葉モカ選手。不敵な笑いを浮かべつつバッターボックスに入ります」

      ――――

      「2番はどんな人が打つの?」

      「1番打者が打ち取られたら自分が出塁しないといけないからね。単純に1番の次に足が速い人や出塁率のいい人を持ってくる場合もあるよ」

      「1番打者が塁に出てたらチャンスを広げなくちゃいけないからね。小技のできる人が採用される場合も多いね」

      「あと最近はMLBからのトレンドで日本のプロ野球でも2番に強打者を置くってのも流行ってるね」

      ――――

      「友希那選手、インコース主体に攻めています」

    • 9 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      >>6
      ありがとうございます。頑張ります

      「ここでインコースとアウトコースの話を少ししておくね。ストライクゾーンの横幅ってどれぐらいかわかる?」

      「えっ!? うーん、審判の人の感覚?」

      「確かホームベースの上を通っているかで決まるんだよね」

      「うん、りみりんが正解」

      「で、このストライクゾーンを縦に切ったとしてバッターに近い側がインコースとか内角とか呼ばれる方だね。遠い側がアウトコースとか外角とか呼ばれる方だね」

      「なんで友希那先輩はインコース主体で投げてるんだ?」

      「いい質問だね、有咲」

      「野球の打球には引っ張り方向と流し方向ってのがあるんだ」

      「右打者にとっては左が引っ張り方向で右が流し方向。左打者にとっては右が引っ張り方向で左が流し方向」

      「イメージしてもらえばわかると思うけど、引っ張り方向に強い打球を飛ばそうと思ったらバットでボールを引っ張るみたいにしなくちゃいけないでしょ」

      「たしかに」

      「引っ張り方向の方が強い打球が飛ぶんだけど、そもそも内角は引っ張り方向に外角は流し方向に打った方が力が伝わって打球に勢いが付くんだよね」

      「右打者のモカの内角に投げれば打球は引っ張り方向であるショートやサードの方面に飛びやすいってこと」

      「なんでそっち方向に打たせたいんだ?」

      「進塁打を打たせたくないからだね」

      「進塁打っていうのは確か自分はアウトになるけど、ランナーの人は次の塁に進めるやつだよね?」

      「そうだね。進塁打を打たせないためには一塁ランナーのパレオが二塁に到達するより先に二塁に送球する必要があるわけだけど、セカンド、サード、ショートってのは普通左利きにはできないんだ」

      「だからその三つのポジションは九割九分以上は右利き。ファーストは左利きもいるけど、今回は右利きだね。右利きの人は自分の身体の左側に送球するより右側に送球する方が早いんだね」

      「だから進塁打を打とうと思ったら捕球した選手にとって二塁や三塁が左側になる右方向に打つのがセオリー。打たせたくないと思ったら右打者には内角、左打者には外角攻めをするのがセオリーなんだ」

    • 10 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      【エンドラン】

      監督(GOよ、パレオ)

      (はい、チュチュ様)

      (一塁ランナー走った!)

      カキン

      「盗塁! いやモカ選手打った。ヒットエンドランです。打球はしぶとく一二塁間を抜けていきます」

      「ライト前ヒット。一塁ランナー俊足のパレオ選手は三塁まで到達。タマデーズ試合開始早々大チャンスを作りました」

      ――――

      「わ! 友希那先輩ピンチだ」

      「今のはヒットエンドランだね」

      「確か盗塁すると同時にバッターが打ちにいくことをそう言うんだよね」

      「転がしさえすれば足の速くないランナーでもまず二塁には到達するからね。ヒットになれば儲けもの。ゴロなら送りバントな戦術なんだよね。でもヒットエンドランの利点はそれだけじゃない」

    • 11 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      【内野手の位置と盗塁】

      「内野って大体どこを守ってるかわかる?」

      「ピッチャー、キャッチャーがいてファースト(一塁手)が一塁、セカンド(二塁手)が二塁。サード(三塁手)が三塁だろう? あれもう一人いたような」

      「ショート(遊撃手)だよ、有咲。大体この辺り」

      「そうだね。ファーストとサードはそれぞれ一三塁の近くだけど、セカンドとショートは二塁の右と左に少し離れて守ってることが多いかな」

      「基本的に一塁と二塁の間はファーストとセカンド、二塁と三塁の間はサードとショートが担当するってことでいいと思うよ」

      「さて盗塁された時、ランナーをアウトにするためには、ランナーが塁を踏む前にボールを持った守備の選手がタッチしないといけないわけだけど。そうするには塁に向かって投げるしかないよね」

      「まあ塁と塁の間の中途半端な位置で刺そうと思ったらその分時間が足りなくなるわな」

      「そうなると誰かがキャッチャーの送球を塁上、この場合は二塁で受け取らなきゃいけないわけだけど誰が捕ったらいいと思う?」

      「セカンドかショート? 一番近くにいるし」

      「そうだね。これをベースカバーって言うんだ」

    • 12 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      【ヒットエンドラン2】

      「でもショートかセカンドが二塁に来ちゃったら守備はどうなる?」

      「あ、その分サードかファーストの人は広い範囲を自分だけで守らなくちゃいけなくなるんだ」

      「そうやってヒットゾーンを増やせるのもヒットエンドランのメリットの一つなんだね」

      「ちなみにだけど今の場面、友希那先輩とリサさんのバッテリーとしてはモカに左方向に打たせたかったからセカンドをいつもより二塁寄り、ショートを三塁寄りに守らせて左方向の守備を固くしてたんだ」

      「つまりセカンドの方が二塁に近かったわけだね。二塁盗塁時のベースカバーはセカンド、ショートどっちが入ることもあるけど二塁の近くにポジショニングしてる方が入ることが多いよ」

      「たしかにセカンドの紗夜先輩が二塁に走ってたね」

      「モカはセカンドが二塁に移動したのを見て、打球の勢いが弱くなるの承知で右方向に打ったんだね」

      「なんだかヒットエンドランっていいことづくめだね」

      「うーんそうとも言い切れないんだ」

    • 13 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      【ランナー三塁】

      「さあ次の打者は3番、美竹蘭選手です。
      昨年まではココロンズに在籍していましたが、チームのエースである友希那選手との対戦を求めて幼馴染4人と一緒にタマデーズに移籍しました」

      ――――

      「ランナー三塁の場面では失点しないために、ヒットを打たれる以外に気を付けなきゃいけないことがいくつかあるんだ」

      「まずはスクイズだね。これはノーアウトかワンナウトの時にだけ使える戦術だけど」

      「たしかバントで転がしてる間に三塁ランナーが帰ってくるやつだよね」

      ――――

      (まだ初回だし、蘭がここで倒れたとしても次はワンナウトで4番。蘭の性格的にもここでスクイズはないと思っていいかな)

      (打ちなさい。ラン・ミタケ)

      ――――

      「三塁ランナーがヒット以外で生還する場面は犠牲フライもあるよ。
      だから外野の深いところまで飛ぶフライを打たれないように低め中心の配球にするケースも多いね。
      高めのボールはフライになりやすくて、低めのボールはゴロになりやすいんだ」

      「さらにキャッチャーが後に逸らすのも絶対にダメ。
      それだけで三塁ランナーがホームまで帰ってきちゃうことも多いから。
      だから三塁ランナーがいる時はフォークとかの落ちる球は投げなかったりするんだけど」

    • 14 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      1回表 無死一三塁
      3番 蘭VS友希那――リサ

      「キャッチャーのリサ選手、ランナーが三塁にいる状態ですが友希那選手の決め球でもあるスプリットを積極的に要求しています」

      (ま、低め中心でフライ上げさせたくないのはバレてるだろうしね。これで球種まで制限したら抑えられないよ)

      「ツーストライクツーボールの平行カウントからの5球目……」

      (内角――)ブンッ!

      「最後は内角高めのストレート。友希那選手、蘭選手を見事三振に打ち取ります」

      ――――

      【内角高め――インハイ】

      「あれ今の場面は低めに投げた方がいいんじゃなかったの?」

      「そうなんだけど、フライを打たせたくないから低めに投げる。
      流し方向に打たせたくないから内角に投げるってだけじゃ配球を読まれやすいからね。
      こうして意表を突いたりすることも必要なんだ」

      「へー色々考えることがあるんだねー」

      「香澄なら頭がパンクしてそうだな」

      「むぅ、そんなことないとは言えないけど」

      「ちなみにさっき内角と外角では適切なミートポイントが違うって話をしたけど、
      内角高めは身体に一番近い分一番前でミートしなくちゃいけないんだ。つまり打者にとって最も時間がないコース。
      そこにストレートを投げ込むってのは速球に自信のある投手にとってはウイニングショットになり得る」

    • 15 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      1回表 一死一・三塁
      4番 日菜VS友希那――リサ

      カキンッ!

      (嘘……!)

      「なんと日菜選手ワンバンしたスプリットをすくうようにしてセンターに打ち上げる。変態打ちです。
      しかし犠牲フライには微妙な飛距離か」

      (ユキナ相手に点を取れるチャンスは少ない。ここはもちろんGOよ、パレオ)

      「パレオ選手走った! しかしセンターのこころ選手レーザービーム! 判定は――セーフ、セーフです。
      さらに一塁ランナーのモカ選手がしれっと二塁に進塁。
      ココロンズのエース、友希那選手早々に先制を許します」

      (まともに打たれたヒットは0なのに1点取られちゃったか面白くないね、これは)

      ――――

      【犠牲フライとタッチアップ】

      「犠牲フライってのはなんか聞いたことあるな」

      「野手がフライやライナー、つまり打球をノーバウンドでキャッチしたら、ランナーは自分が元々いた塁を踏まなきゃいけないんだね。
      この場合はパレオは三塁、モカは一塁ね。まあゴロの場合みたいに外野にフライが飛んでる間ランナーが進塁していいんじゃ、得点し放題だからね。それを防ぐルールだよ」

      「今みたいにノーバウンドで捕球されることが明らかな場合は最初から元のベースに張り付いて打球がキャッチされることを待ってることが多いね。
      そして打球がキャッチされた後は進塁していい。この時次の塁を狙うことをタッチアップって言うんだ」

      「そしてタッチアップの中でも今みたいにランナーが本塁に生還するものだけを犠牲フライって言うんだよね。
      ようはホームにボールが帰ってくるまでにホームベースを踏めばいいから本塁からの飛距離が重要になるんだ」

      「今、モカが二塁に進んでたよね」

      「そうだね。さっきも言ったけどタッチアップ自体は本塁以外も含むからこころがホームに投げたから、その隙に二塁に進んだんだね」

      「おお、かしこい」

      「守備側もサードランナーはあきらめて、ショートやセカンドが二塁付近でカット。一塁ランナーをアウトにするって場合もあるから気を付けなくちゃいけないけどね」

    • 16 名前:匿名スタッフさん ID:1OGNkYmV

      【スプリット】

      1回表 二死二塁 1-0
      5番 巴VS友希那――リサ

      (ツーアウト二塁とにかくバッターを打ち取ればいい場面だ)

      「一球目はスプリット。巴選手、手が出ません」

      (ストライクゾーンにコントロールできて、空振りも獲れる。湊さんのピッチングの生命線だね。
      あれを攻略しないと湊さんからの大量得点は難しい)

      ――――

      「そう言えばスプリットって何?」

      「あーそれをもっと早く説明しておくべきだったね」

      「略さずに言うとスプリット・フィンガー・ファストボール。
      メジャーリーグから来た変化球だね。SFFなんて略し方もあるんだけど」

      「まずフォークボールっていう打者から見ると真下に落ちる変化球から説明するね。
      これがなんで落ちるかっていうとストレートと比べてバックスピンが足りないから自然に山なりのボールになってストレートとの違いで落ちてるように見えるんだけど」

      「それに対してスプリットは球速も回転数もフォークとストレートの合の子みたいなボールなんだ。
      フォークに比べると大きな変化ではないけど、回転数や球速が近いからストレートとの見分けがつきにくいし、変化が小さい分ストライクも取りやすいんだよね」

    • 17 名前:匿名スタッフさん ID:mMTU3ZGQ

      パワプロくんで適当にしか打った事無かった人間からしたらすげぇ面白いし解説もわかりやすい

      これからも続き更新待ってます