「……それって多分、ひなちんがギターを始めたところ……だよね」
「……うん」
「……でも、ちゃんと説明するよ」
「あたしがギターを始めたことで、おねーちゃんはまた変わった」
「前よりも、もっとギターに力を入れるようになって……」
「あたしを……拒絶するようになった」
「ヒナ……」
「辛かった……すごく辛かったよ……うぅ……」グスン
「ヒナ……っ!」ギュッ
「……っ」
「……ありがと、リサちー」
「もう大丈夫だから」
「この……氷河期って言えばいいのかな。歪な関係は、おねーちゃんがRoseliaに入ったことをきっかけにして、次第に元に戻っていったんだ」
「七夕の日とか、あの雨の日とか……今思えば懐かしいね」
「友希那ちゃんたちがいてくれなかったら……きっと、ずっとこのままだったかもしれない」
「みんな、本当にありがとう」
「……で、暗い話はここまでね」
「今、おねーちゃんは岐路に立ってるの」
「岐路……ですか」
「氷河期が終わって、おねーちゃんは元のおねーちゃんに戻ったって言ったけど」
「おねーちゃんにとっての“元の”自分って、誰なのかなって」
「あ……」
「おねーちゃんには選択肢が二つあったんだ」
「真面目な自分と、天真爛漫な自分」
「おねーちゃんは、真面目な自分も、嘘で塗り固めた自分だから、それも戻そうって考えたみたいでさ」
「だけど……これはおねーちゃんの感覚だからよく分からないけど、真面目な自分を捨てきれなかったんだって」
「でも、本当の自分でもありたいって思ってるみたいでさ」
「二つの性格が反発して、ぐちゃぐちゃになって……」
「その……みんなから見るとおねーちゃんの情緒が不安定に見えるのはそのせいなんだよね」
「……」
「だから……みんなには、どんなおねーちゃんでも尊重して、好きでいてほしいな」
「あたしが伝えたいのは、それだけだよ」
「ふふっ……最後に何を言うかと思えば……そんなこと?」
「友希那ちゃん?」
「紗夜はRoseliaのメンバーで……私たちの仲間よ。仲間を好きでいるのは当然でしょ?」
「それに、何より……」
「紗夜は、友達だから」
「……!」
「あは☆そうだね〜。紗夜は色んな一面があるからこその紗夜って感じするもんね〜」
「ライブのときかっこいいかと思えば、すーぐポンコツになってかわいくなる所とか面白いよね!」
「何事にも真摯に向き合って……誰にでも優しくて、私たちに力を分けてくれる氷川さんのこと……尊敬しています」
「みんな……」
「ありがとう、日菜。今日を機に、私たちは更なる高みへの鍵を手に入れることができた」
「Roseliaは……」